パッケージ幸福論

2015.11.30

日本酒について文章で言い表すことをやめて、絵に描いたほうが明確なんじゃないか?と感じたのはこれが初めてだった。

先日、メーカーの中で製品などのパッケージデザインを担当しているプロフェッショナルメンバーが集まって、パッケージデザインの可能性を模索し、パッケージデザインを通して幸せについて考えていこうとするプロジェクト「パッケージ幸福論」を観に行った。
7回目となる今年のテーマは「日本酒」。

「飲み物」である日本酒を「読み物」として発信しているわたしは、常にそれが断定的な意味にならないように注意を払うことが作り手である蔵元さんたちへの敬意ではないかと思っている。
だってお酒はあくまでも嗜好品であり、味わいは個々の価値基準。
これが正解!ってものは無い。
本当は文章で味わいのことを語るのはナンセンスだと思ってるし、「これは高くて美味しいお酒です。」って言われて、そうかぁこれは美味しいんだって思うことではなくて、肝心なのは自分自身のレーダーが左右に動かされる部分だと思う。
味わいが甘ったるく感じようがスッキリだろうが、スキでもキライでも、そういう『なにかを感じる』ことだと思ってる。
だからわたしは日本酒の味に関しての解説以外の世界観を発信することで、日本酒を愛してもらいたい。
愛すまでいかなくとも、なんだか少し気になってほしい。

お酒の楽しみ方にビジュアルの要素があっても全然構わないと思う。
そう発信し続けてきたけれど、、
わたしたちが洋服の系統をいきなり変えたり、髪の色を変えてみたりするのと同じテンションで向き合っていていいのか?
なんかそんな薄っぺらなお絵描きで完結するべきものではないって、なんていうかちょっと失礼なんじゃないか、、
そういう風にこのパッケージ幸福論を観て考えさせられた。

味わいの深さの裏に、人間と同じくどんなところで生まれて、どんな背景があって、どんな瞳をして、どんな人と関わって、何を感じて生きて、何の傷を負って、何の笑みを振りまくのか。
それを識った時、自分はそんな多面的で立体的な側面を持つ相手(日本酒)に、どんな感情を持つのだろうか。
それに気がつくことが、味わいという文化の奥に生々しく手を触れる瞬間かもしれない。

本業の農業が農閑期となる冬、出稼ぎのために家族と離れ辛く厳しい環境の中、重圧な責任を背負って酒造りをし、酒を腐らせ命を絶つ者もいたという杜氏の生き様そのものであり、日本酒の華やかで甘美な味わい裏にある影の重みであるに違い無い。


映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』のマーティーが行き着いた未来=2015年10月21日が過去となった今、「飲み物」というアートを美術館に置く時代になってもおかしくないとわたしは思う。

アート同様、「正解はない世界」の娯楽観は無限大。

▼「come from」石田 清志

▼「盃句 HAIKU」湯本 逸郎

▼「一期一会一酒」井上 大器

▼「密造酒」大上 一重

▼「福ノ杯」近藤 香織

▼「日本酒のリアルな書体」籠谷 隆

▼「直会 なおらい」山崎 茂

▼「眺めの盃」赤井 尚子

▼「ひとさじからひと吹きへ」田中 健一

<総合プロデュース> 鹿目尚志 
<ディレクション>  中島信也
<参加デザイナー>
赤井尚子
石田 清志
井上大器
大上一重
籠谷隆
近藤 香織
田中健一
長崎佑香
廣瀬賢一
山﨑茂
湯本逸郎

bijin30

TOKYO

Writer / Freelance

野口万紀子 [ No.0030 ]

好きな日本酒の銘柄:景虎・三連星・ロ万・黒龍・桜吹雪・庭のうぐいす

野口 万紀子 <フリーランスライター>

【取得資格】
SSI認定 唎酒師
SSI認定 日本酒ナビゲーター
日本野菜ソムリエ協会認定 パーティースタイリスト

【活動内容】
日本で一番初めに創刊されたメンズファッション誌「男子専科」オフィシャルWebサイト『男子専科STYLE( http://danshi-senka.jp/ )』にて、メンズファッション記事の執筆、編集をしています。
自身のコーナーでは" 紳士のための恋する日本酒 ”をテーマにコラムを連載中。
http://danshi-senka.jp/author/taste-017

【経歴】
東京都目黒区生まれ。
女子美術短期大学卒業。
ランボルギーニ オーナーズクラブ イメージガール、レースクィーン、モデル出身。
芸能活動後、フランスのアパレルブランド、融資コンサル会社等での経験を経て、現在のライターとしての活動を開始。

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