ワイルドサイドを歩け!三芳菊

2015.9.24

こんにちは。酒の金重5代目の増田佳与と申します。

突然ですが、当店は今月の9月末で閉店することとなりました。
長い間大変お世話になり誠にありがとうごいました。心より感謝申し上げます。

閉店前にもう一度、酒販店として有難く投稿をさせて頂こうと思いました。
どうか宜しくお願い申し上げます。

さて、当店では徳島の三芳菊というお酒を取り扱っておりました。
このお酒、一言で言うと「日本酒のワイルドサイドを歩いてる」。
私が言うのもなんですが、真っ当で安全な道とは反対側を歩いています!!!!!

明利酵母という珍しい酵母を使用しており、
カプロン酸エチル系のいわゆるマスカットやパイナップルのような派手な香りで、
酸度も高く非常に甘酸っぱく感じるお酒です。(数値的には辛口ですが)
ラベルもまたワイルドサイドです…。

実は昨日、こちらのSAKE美人の謝恩会があり、有難く参加をさせて頂きました。
その際にオーナーである木村さんが「皆に一度試して欲しい」と
お持ちいただいた中にこの「三芳菊 零 無ろ過生原酒」はありました。
とても嬉しかったです。

このお酒の味わいは実に賛否両論です。
「見本となるべき、良い日本酒とは」と考えた時には
外さざるを得ないお酒なのかもしれません。
このお酒を日々販売する中で、
ある人は「この酒だけは許せない」と言います。
しかしまたある人は「この酒がなくてはならない」と言います。

このお酒との出会いは約5年程前。
とある四谷の日本酒専門店でした。
そちらでも、「何か面白いお酒はありますか?」と尋ねたところ、
真っ先にこのお酒が出て来ました。
私はその時「こんな酒があるのか…」と本当にびっくりしました。
「これは絶対に取り扱いたい!!」と思いましたが、
一緒に行った蔵元に「難しいんじゃない?」と言われました。
そのお店のオーナー様にも、
「九州のとある蔵元の社長様にお越し頂いた際、沢山の日本酒の中でこのお酒だけ全部残した」と言われました。
後日、知り合いの酒販店に相談したところ、「うちはゼッタイにやらない」と言われました。
思いもよらぬ反応に、当店で扱えるかどうかかな~りかな~~~り悩みました。

しかしながら欲望を抑えきれず蔵元様にTEL。
有難く取扱いさせて頂くことになりました。

私は日頃より日本酒の販売を通して感じる事があります。
それは、日本酒に詳しい方とそうでない方の物凄い差です。

お客様のみならず、私の主人や姉妹・友人でも「美味しい日本酒?辛口のやつでしょ?それと有名なOO!」
殆どがこれぐらいのリアクションです。
最も身近な人物にすら、私は日本酒の事を伝えられていません。

私が思うに、「日本酒を知る欲求がある」という事は、言わば第二段階であり、
そのような方に分かってもらうのは非常に簡単だと思っています。
例えば、当店の試飲会に足を運んで頂いたお客様に伝えるのは簡単な事で、
日本酒に興味の無い方は、「検証する意志がない」という、まだ第一段階であり、
そこを第二段階に持って行くことが非常に難しいのだと思います。
しかしこれこそがさらなる日本酒の普及に重要な事なのではないか、と思うのです。

先日、お笑い芸人の又吉さんが芥川賞を受賞されたことにより、
普段小説に興味がない方も沢山本を購入されたと思います。
このように、どの世界でも同じような気がするのですが、
詳しい方だけが楽しめる世界ではなく、興味の無い方に興味を持ってもらわなければ、
飛躍的な認知に繋がらないのでは、と思うのです。
日本酒においても、時には専門家にメッタメタにダメ出しされるようなものでも、
どのような理由であれ「人に教えたい」と思わせる力のあるもの、
他との違いが分かりやすいものこそがヒットの鍵を握っているのでは、と思うのです。

6日後の閉店前に、最後にこのお酒を仕入れる為に今日蔵元様に電話をしました。
これまでの飲食店様やお客様の反応、色々とお話をしました。
やはり蔵元様は、色々言われるけれど「他に埋もれない個性」を何よりも大事にする熱い熱い思いがあります。

今まで本当にありがとう、三芳菊!!
色々な事を教えてもらった。
これからは小売として貢献する事ができなくなるけど、
このようなワイルドサイドのお酒が更なる日本酒普及の突破口になるよう、
これからも応援してる!!!
がんばってね!!!\(^o^)/

■蔵元:徳島・三芳菊酒造
■アルコール度数:16度前後
■原料米:徳島県産山田錦等外米(等外米のため純米表示無し)
■タイプ:無ろ過生原酒おりがらみ
■精米歩合:60%
■日本酒度:
■酸度:
■酵母:明利酵母
kajin10

SAITAMA

酒類専門セールスプロモーター、JSA認定ソムリエ、日本酒きき酒師、焼酎きき酒師、国際きき酒師、酒販店経営歴約10年

増田佳与

好きな日本酒の銘柄:鯨波、鏡山


時計・宝飾業界に約9年携わり、2005年結婚を機に実家である酒販店 酒の金重に約10年勤務。
勤務中は日本酒、焼酎、ワインを中心として、銘柄にとらわれず自らの視点で取扱い品目を決定し、お取引を始めさせて頂いた蔵元様は約25軒。月に数回試飲会を主催。
現在は酒類専門セールスプロモーターとして、主に都内デパートにて酒類販売に携わる。
これまで30軒超の蔵元・ワイナリー・ブリュワリー様を訪問。
2014年1月、日テレ「ヒルナンデス」お酒の特集コーナーにてお酒全般の指南役として出演。
2016年3月、「FUTAKO日本酒女子会」お酒の料理の相性ワークショップ講師として出演。
2012年、長男を出産し現在は一児の母。

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