「戦える酒」と「戦いに向いてない酒」

2015.9.19

先日行われたSAKE COMPETITION 2015の純米吟醸部門では、弊社勝山酒造が一位になりました。表彰式後の蔵元を囲む会には、勝山からは蔵元(父・写真左)、杜氏(写真右)と私の3人参加しました。

素直に嬉しく思うと同時に、芸術品・嗜好品を測るってすごくむずかしいなあと思いました。


コンペとなると、どうしてもコンペで映える酒というものはあります。


鑑評会では、対策といいますか、鑑評会向けに酒が作られるほどですから。


このお酒入らなかったの?という銘柄もいっぱいありました。そして、正直どのお酒もそれぞれ美味しい(笑)

受賞した蔵も、去年から順位を落とした蔵もあり、いろんな思いが入り乱れる空間でしたが、どのお蔵元もそれぞれの思いを熱くして帰ったのではないかと思います。


ところで、酒には「戦える酒」と「戦いに向いてない酒」がありまして、どのお蔵もただ自蔵の一番自慢の、または高級なお酒を出すのではなく、多かれすくなかれそのことを考えて選出していると思います。


戦える酒というのは、コンペという特殊な環境、必ずしもその酒にとって適温でない常温で、前後に飲まれる酒によっても受ける印象に影響を受け(たとえば 前に飲んだ酒が辛口だと、次に飲む酒がとりわけ甘い酒ではないのに強く甘口に感じるなど)…そんな中でも自分をアピールできる、言って見れば美味しさのわかりやすい、そして飲み疲れしている審査員に優しい(甘すぎず、キレのよく、、など)酒です。

戦いに向いていない酒とは、その酒にあった舞台を用意してあげてこそ、映える酒。適切な温度、適切な酒器( ex) お猪口でなくワイングラス)、適切なシーン( ex) 食事と合わせて)などがあって初めて美しく花開く、本領を発揮するお酒です。


人間でもありますよね。どんな分野・シーンでもそつなくこなすゼネラリストで、どんな人とでもすぐ仲良くなれる人気者がいる。


一方、個性的で、とある場面においては右に出る者はいないほどの実力を示し、コアなファンがつく・・・そんな人も。


『たくさんの人の中にいても目を引く、垢抜けた容姿に、老若男女誰からも愛されるキャラクターのタレント( CMでもバンバン稼ぐ(笑))』 
VS 
『ぱっと見そんなに目立たないけど、舞台に上がると圧倒的オーラと存在感で観客をとりこにする大女優』


みたいな感じでしょうか。どっちのほうがすごいとかはないし、基準にするものによって評価は変わります。

審査会場を想像すればわかりやすいかと思いますが、300種類以上の常温の酒を、食事もなくテイスティング(飲まない)し続けるという環境と、食事をしながら、冷やして飲む(飲み込む)酒で、好かれるタイプが異なるのは当然ですよね。


弊社勝山でいえば、今回純米吟醸部門で1位をとった【献】(けん)は戦える酒。


一方、勝山のフラッグシップでありながら一度もコンペに出したことのない【暁】(あかつき)純米大吟醸 極純原酒「遠心しぼり」 は後者、戦いに向いていない酒です。


私はコンペを批判しているのではなく、むしろこれからもっともっと盛り上がって欲しいと思っています。ただ、コンペなるもの、当然基準を定めなければできないのですが、その枠で捉えきれない美味しい日本酒もあるということです。芸術品・嗜好品ですから、結局は絶対的な基準なんてないんです。


きっとミスコン出場者よりも、自分の彼女のほうが可愛いと思っている男性は世の中にいっぱいいらっしゃるでしょう!(希望的観測)



↑今年のポスター


最後に、今年の受賞は「前期の結果」への評価であり、そのタイムラグがあっていま注目されているにすぎないので、いまはさらに先を見据えて酒づくりも、日本酒全体の未来も考えていかなければいけないのだなあと、日本酒業界のぺーぺーの端くれながら、27BYを目前にして・・・思った次第です。

kajin03

NY / JAPAN

蔵元の輸出事業担当 学生日本酒協会代表

Euka Isawa伊澤優花

平成5年生まれ 仙台の蔵元とマレーシアの華僑の母の間に育った3人兄姉妹の真ん中です。

東京大学 経済学部4年

☆利き酒師および国際利き酒師(酒ソムリエ)資格習得

☆酒造技術幹部養成講座・基礎課程修了

☆学生日本酒協会代表(2013年には農林水産大臣賞受賞)

学生日本酒協会では、日本の将来を担う若者達に、文化・教養も含め美味しい日本酒を知ってもらいたいとの想いから「楽しむ+ちょっとした学び」をコンセプトに、蔵元、飲食店、流通業者、利き酒師、小売店、さまざまな方の協力を得て多様なイベントやプロジェクトを企画。

日本酒美容女子会、一ノ蔵を楽しむ会、二十歳からの日本酒講座、モテる日本酒講座(20〜25歳の若者100人集客)etc..

https://www.facebook.com/Student.Sake.Association?fref=ts

☆ミス日本酒2013ファイナリスト

☆はせがわ酒店主催「日本酒でおもてなし!」表参道ヒルズにて、勝山として外国人向け日本酒セミナー担当。

☆仙台伊澤家 勝山酒造 輸出担当およびマーケティング補佐
http://www.katsu-yama.com

単身NYに渡り実家勝山酒造の輸出を始めたことを機に、それを引き継ぎ蔵の輸出事業を担当。(現地レストランにて酒ソムリエも経験)実地での経験を生かしマーケティングにも力を入れる。

☆ダイヤモンドオンラインにて日本酒コラム連載
http://dimo.jp/archives/columns/sakecolumn

☆フリーで若者向けの日本酒企画、酒類輸出事業の顧問複数。

※Facebookの友達承認は基本実際にお会いした方に限っておりますので、それ以外の場合はフォロー機能を使っていただくか、自己紹介のメッセージとともに申請いただけますと嬉しいです。

このキュレーターの他の記事を見る
Page Top