日本酒好きに知ってほしい酒「みりん」

2017.3.1

調味料として各家庭で使われている「みりん」。
テリやツヤを加え、焼き色をよくしたり、上品な甘味や香りを与えてくれたりと、お料理には欠かせない存在です。

そんなみりん、「酒」であるということを、ご存知でしたか?


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昔は甘いお酒として重宝されていたみりん。

室町時代に「練貫酒(日本酒のような醸造物に米と米麹を漬け込んだ甘いお酒)」として中国から伝わったのが始まりだそうです。

そして戦国時代、南蛮貿易により焼酎の技術が伝わり、米焼酎を使用したみりんが誕生します。

江戸時代初期には、夏バテ防止や寝酒、食前酒など「飲み物」として広く親しまれるようになります。当時は今よりもサラリとした、薄いみりんでした。

江戸時代中期になると、醤油の増産にともない、みりんが醤油との相性がいいと話題になり、料理の隠し味として使われるようになります。料理人からの要望で、料理の味付けに使いやすい濃いみりんも誕生しました。

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そもそも、みりんの原料ってなんでしょうか?

本来のみりんは、蒸したもち米、米麹、そして焼酎(醸造アルコール)を原料とし、じっくりと60日ほどかけて米麹の酵素の働きにより、もち米を糖化していきます。

このとき、もち米のタンパク質やデンプンが分解されて、グルコースをはじめ各種の糖質、アミノ酸、有機酸、香気成分などが生成され、本来のみりん特有の風味が生成されます。


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ですが、現在このような伝統製法で造られているみりんは、なんと全体の約1%程度だそうです!!

現在売られているものは、「本みりん」「みりん風調味料」「発酵調味料」に分けられます。

【本みりん】はアルコール度数が約14%あるので、酒税法で管理されています。調味料の立ち位置が主です。酒税がかかります。

【みりん風調味料】とは、昭和23年ごろに出てきた、化学を駆使した調味料です。アルコール度数が1%未満ですので、アルコール飲料ではありません。酒税もかかりません。

【発酵調味料】は、日本酒的発酵物に塩を3%以上入れ、糖、アルコールを加えたものです。みりん的使用のものと、料理酒・日本酒的使用のものがありますが、塩が入っているので、アルコール度数が14%でも「酒」ではなく「調味料」の立ち位置なので酒税はかかりません。


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そして、「本みりん」と一括りにされていますが、「本みりん」も「伝統的本みりん」と「新技術式本みりん」に分けられます。

【伝統的本みりん】は、もち米、米麹、焼酎を原料とし、60日程度の熟成期間を経て造られる、複雑な甘味、旨味、香りをもちます。本当の、本来の、みりんです。

【新技術式本みりん】とは、4分の1がみりんで、4分の3がアルコールや糖で増量されたみりんです。その4分の1のみりんも、海外の温暖な気候で、1年に3回収穫できる三毛作でとれた米を、みりん粕が出ないくらい無駄なく糖化させて作ったものがほとんどです。


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伝統的な本みりんが少なくなってしまったのも、戦争という背景がありました。

貴重な食糧である米や、もち米を原料とするみりん。戦後はなんと、本みりんに75%もの酒税がかかっていたそうです。100円のみりんも75円が税金で取られてしまっては、いったいいくらで販売すれば商売として成り立つのでしょう?

みりんを造るなと言っているようなものです。

伝統製法は息をひそめ、合成みりんが安価に流通し、戦後の一般家庭に浸透していきました。戦後の日本酒、三増酒と共通する部分があると思いませんか?


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そんな伝統製法が、今また見直されてきています。今はインターネットで簡単に、伝統的な造りをしているみりん蔵にアクセスできます。

毎日の食卓で使うものです。だからこそ、ぜひこだわって選択していってほしいと思います。

ぜひ、本当のみりんを味わってみてくださいね^^

kajin19

TOKYO

酒飲み、利酒師、焼酎利酒師

今井志緒里

好きな日本酒の銘柄:羽根屋、七賢

岐阜県出身。 高校卒業後、東京農業大学 醸造科学科へ進学。 在学中、日本酒への興味が湧き、大学卒業後は大手日本酒販売店へ就職。 転職により日本酒の業界から離れたことで「やはり自分の住む世界は日本酒の世界だ」と認識。 現在は利酒師、焼酎利酒師として日本酒と食に関しての事はもちろん、飲酒をする方の健康面に関してのイベントや情報も発信する。 『まず、日本酒に触れてみる。 学問として発酵を学んできた人間としての視点から そんなきっかけづくりをしていきたいと日々感じています。』

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