「カンパイ!世界が恋する日本酒」の試写会に行ってきました!

2016.5.30

小西未来監督によるドキュメンタリー映像作品「カンパイ!世界が恋する日本酒」の試写会に行ってきました。

日本初の外国人杜氏であるフィリップ・ハーパーさん、日本酒伝道師のジョン・ゴントナーさん、そして岩手県の「南部美人」の五代目蔵元である久慈浩介さんの3人をキーパーソンとして、彼らの挑戦、そして日本酒の底力を映し出した作品です。

この映画は、彼らの言葉が様々なシーンで交錯しあう短編集のような構成なのですが、ある一点でバシッと結びつきます。
空前絶後、前人未到の境地に踏み込む彼らの姿に胸を打たれ、私は涙なしには見ることが出来ませんでした。(実は密かに号泣。)

まずは、外国人の二人に関して。
故郷を離れ、運命に導かれるように日本酒の世界に入り込むハーパーさんとゴントナーさん。

ハーパーさんは、イギリス人にして、「玉川」醸造元の木下酒造の杜氏を務め、蔵付き酵母仕込みやロックで日本酒を楽しめる「アイスブレーカー」など、これまで誰も成し得なかった新しい取組みで蔵を蘇らせました。

イギリス人が日本酒造りの長として認められるのは、そう容易なことではありません。
現在のように彼が認められたのは、紛れも無く、誰よりも日本酒にかける情熱が熱かったためでしょう。

熱い情熱は、人の心を動かす。
修行時代に頭から血を流しながらも作業に当たったというエピソードに、彼の全てが詰まっていたように感じます。

〔写真はフィリップ・ハーパーさん〕

アメリカ生まれのゴントナーさんは、「日本酒伝道師」、いわば日本酒のジャーナリストやコンサルタントとして活躍されています。
ハーパーさんと同じく、日本で英語教師を体験したことをきっかけに日本酒と出会いますが、その時点では日本酒を生業にしようとしていた訳ではなく、たまたまある編集者と出会ったのをきっかけにライターとしての活動を開始し、現在では日本酒に関する書籍を発表したり、外国人向けの日本酒セミナーを開催したりなど、特に海外へ日本酒を普及させる活動に奔走しています。

素直に、貪欲すぎず、かつ着実に。
「サラリーマンを辞めたらお金がなくなったから鎌倉に移住した。でも、結果それで良かった。」と笑って語るゴントナーさんの言葉に、彼の生き様が集約されている気がして微笑ましかったです。

〔写真はジョン・ゴントナーさん〕

一方、生まれながらの蔵の跡継ぎという立ち位置に甘んじず、旧来の酒造りを一新したり、海外に向けて日本酒を発信したりなど果敢に新たな挑戦をするのは、南部美人の久慈浩介さん。

幼いころから「南部美人の息子だ」と耳にタコができるほど言われてきたからこそ、がんじがらめの環境に悩み、もがき苦しんだ青春時代だったそうですが、その苦悩から逃げなかったからこそ、現在の南部美人が在ります。

後半は東日本大震災に関しても触れられ、震災で友人を亡くされた久慈さんが悲しみを乗り越えてさらなる成長を遂げるシーンが有るのですが、これまで漠然と考えていた「飲んで応援!東北!」という言葉が、実感に変わりました。
彼らのこれまでを見つめることで日本酒の未来、ひいては日本の未来を見つめ直す良い機会を下さった作品に、感謝の気持ちで一杯です。

…なんて、そんなことを言うと少々堅苦しいですね。
まずは造り手のドラマを知ると日本酒を更に美味しく感じられるので、まずはそこから入ってみませんか??

〔写真は久慈浩介さん〕

また、普段なかなか見ることのできない酒造りの風景には、蔵人さん達の息遣いや米を蒸す香りまで感じられそうなほど躍動感と臨場感が有ります。
私はよく日本酒に関する雑誌や書籍を読むのですか、この臨場感は映画にしか醸し出せないものではないかと思います。

木下酒造さんの雪景色、ハーパーさんの故郷コーンウォールの自然美も見どころです。

全ての日本酒に、それぞれのストーリーが有る。良いことも悪いことも、たとえ大きな障壁が立ちはだかっても、それら全てが物語のワンシーンとなり、味の一部となる。そんな風に感じました。

しかし、それは酒造りに限らず、モノづくり全てに共通することで、この映画はコアな日本酒ファン向けに作られたワケではなく、一つの映画作品として沢山の人に届けたい、「今」を全力で駆け抜ける人間の力強さと美しさを映像化した作品なんですね。(あくまで個人的な感想ですが。)

たまたま今回の題材は「日本酒」であり、もちろん日本酒に関してはリアルな声とともに深く掘り下げられているので日本酒ファンには勿論見て頂きたいところですが、そうでない方にも是非見て頂きたいです。
この映画をきっかけに日本酒を好きになる方が沢山生まれることを願います。


↓劇場情報は公式HPをご参照ください。

kajin09

TOKYO

フードコーディネーター

真野遥

好きな日本酒の銘柄:丹沢山、風の森、若波、伯楽星、日高見、早瀬浦、会津娘、天狗舞、天の戸、不老泉etc

お酒大好きフードコーディネーター。 祐成陽子クッキングアートセミナー卒業。 最近のテーマである「出汁と日本酒」を基軸に、レシピ提案やフードコーディネート、ケータリング等で活動中。 有楽町の「后バー有楽」月曜女将。 まだまだ勉強中の身ではありますが、日本酒の魅力や食器・酒器、日本酒に合うの料理のレシピなどを沢山ご紹介していけたらと思います!

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